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大阪地方裁判所 昭和43年(行ク)81号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕(一) 本件疎明によれば、昭和二八年六月二二日上田熊吉は、被申立人に対し大阪市西淀川区中島町所在中島町公園内苑池の使用願を提出し、同年七月一〇日被申立人より同公園内苑池一、〇〇〇坪をぼら、うなぎ等魚類の養殖及び釣池に使用するため、使用期間同日より昭和二九年七月九日まで、使用料金年額四、二〇〇円、使用者は使用許可期間満了後遅滞なく使用している場所を原状に回復して返還するとともに収支決算報告書を提出しなければならない、被申立人は大阪市の都合により又は使用者がその使用期間中許可条件に違反したときは使用許可を取り消すことができる。この場合において使用者に損害を及ぼすことがあつても大阪市はその責を負わない。使用者は、使用についてその理由の如何を問わず権利を他人に譲渡し、転貸し、又は担保に供してはならないなどの条件を付して使用許可したこと、右使用許可は、昭和三八年法律第九九号による改正前の地方自治法第二一三条大阪市公園使用条例第一条第二条による市有財産の使用許可であること、右中島町公園につき大阪市は、昭和二七年一二月から同三一年三月にかけ失業対策事業として公園用苑池、運動場等の新設工事を行つた結果、一応一般市民の利用に供しうる状態となつたこと、その間昭和二九年三月市議会提出資料昭和二八年財産表及び事務事業概要に公園用地として登載され、また、同年同月三一日中島公園の名称で大阪特別都市計画公園に追加された旨同年四月一九日付建設省告示第四四六号をもつて告示されたこと、前記使用許可は、昭和三九年度まで毎年更新されたこと、使用許可区域は前記の如く当初一、〇〇〇坪であつたが、昭和三三年度以降三、〇〇〇平方米、同三六年度以降四、五〇〇平方米に拡大されたこと、しかし被申立人としては公園整備の目的のため昭和四〇年度以降は使用許可を更新しないこととしたので上田に対する前記使用許可は同四〇年三月末をもつて許可期限を終了し消滅したこと、しかるに上田は、その後においても右地域の占有を継続するのみならず本件宛池に工場廃水などの汚水が流入し魚類養殖池として使用不適となるや、被申立人の再三にわたる制止を無視し本件宛池一帯を埋立てた上、申立人外数名の者に無断で賃貸し賃料を取得していること、申立人は何らの権限もないのに、別紙第一物件目録表示( )の建物を建築所有し、また外数名の者も同様に何らの権限もないのにそれぞれの建物を建築所有し、これらの者はその所有建物をそれぞれ物置、倉庫もしくは作業場等に使用している外、ごみ、くず、その他の廃物を勝手に投棄し、そのため廃油による火災が発生し付近住民から公園整備を急ぎ占拠者を排除するよう強い要望の出されたこと、そこで被申立人らに対し右建物の撤去を申入れたが応じないため、昭和四三年九月三〇日付で都市計画法施行令第一四条に基く原状回復命令を発し、同年一〇月三〇日までに右建物等の撤去を求めたが、申立人らはこれにも応じなかつたこと、しかし被申立人としては中島公園区域内にある右建築物を放置すると公園整備の遅延を来すのみならず住民の利用に供しえないため著るしく公益に反するとして右建物等を行政代執行法によつて除却することを決定し申立人らに対し、同法第三条に基き昭和四三年一一月一九日付文書をもつて同年一二月二日までに別紙第一物件目録記載の各物件を撤去すべく右指定期日までに履行しないときに被申立人において代執行する旨戒告したこと、以上の事実を認めることができる。

右認定事実によれば、昭和三一年三月本件係争地は、公園新設工事の結果中島公園として公用開始されたものと認めうるとしても右以前においては、通称中島町公園と称され、いわば公園予定地であつたと認めるのが相当である。

しかしながら本件疎明によれば、本件土地は、付近住民の多年の希望により公園設置の目的で大阪市が所有していたのであつて、公園予定地であることについては一般に知られており、大阪市では昭和二七年一〇月一三日都市公園として整備すべく設計図を作成した上、前記のように同年一二月以降失業対策事業により設置準備を進めていたことが認められるから本件係争地は前記上田が使用許可をうけた当時単なる普通財産ではなく、行政財産としてのいわゆる予定公物に相当し、前記上田は予定公物としての本件係争地につき大阪市公園使用条例に基く使用許可をうけたものといわなければならない。

従つて前記上田が右使用許可により得た本件係争地に対する使用権は、私法上の賃借権でないことは敢えて多言を要しないのであつて、同人の本件土地に対する使用権は行政行為たる許可処分の付款として付された期間の経過とともに消滅に帰したこととなり、被申立人が原状回復を求めたのに申立人らがこれに応じないため前記のように行政代執行法により戒告をなしたことは止むをえないというべきである。

なお念のため付言すると昭和三八年法律第九九号による改正後の地方自治法付則第一条第一〇条は、昭和三九年四月一日現在目的外使用を認めている行政財産については新法第二三八条の四第三項の規定による許可により使用させているものとみなしているので申立人主張のように本件係争地が私法上の契約により目的外使用を認められていたものとしても右同日以降においては被申立人に対し私権の設定を主張し又は対抗することはできなくなつたから申立人の右主張はいずれにしても認容することはできない。(仲江利政 喜多村治雄 南三郎)

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